【植物コラム】キョウチクトウのなまえだには毒がある

キョウチクトウという木を知っているだろうか。
過酷な環境でも育つため、街路樹なんかとしてもよく用いられている。
その辺を散歩していても民家に植えてあるのを見かける。

さて、大学の研究室で過ごしていたある日、
同じ研究室で働いているガチ植物学者の女性Nさんと、
野外調査に向かうことになった。

当日、Nさんの車で高速道路を走っているとき、
Nさんからクイズが出された:
「山﨑くん、道路の脇に生えてる植物の名前わかる?」
「えーと、キョウチクトウかな」
「お、当たり」
広島でよく見かけた気がして、自然と名前が出てきた。

キョウチクトウってね、毒があるんだよ」
「へー、どこに毒があるんですか?」
「なまえだ」
名前だ? 言葉を発すると呪われるとか呪術的な話?

しばらく噛み合わない話を続けて、ようやく、
彼女が「"生枝"」と言ったのだと気付き、
また、彼女も、僕が「"名前だ"」と勘違いしたのだと気付き、
2人で大笑いして事故りかけた。

そのときに教えてもらったけど、キョウチクトウの枝を
バーベキューの串の代わりに使って何人か死んだ事件があるとか、
けっこうな強さの毒らしい。身近に潜む恐怖。

それから、いまググってみると、キョウチクトウ広島市の市の花だった。
戦災後、最初に生えてきたのがキョウチクトウだったからとか。
広島市街にはあちこちにキョウチクトウが植えられているような記憶がある。