新潟中央区・けやき通りの「ごん蔵」の野菜赤味噌ラーメンは美味しい

お題「今日のおやつ」

タイトルでだいたい言い切ってしまった。まずは写真を見てもらおう。

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野菜赤味噌ラーメン(750円)

こってこての醤油とんこつ。背あぶらが美味い。しかし、多量の炒め野菜も乗っているため、罪の意識が薄まる。なんの罪か。夕飯後の深夜におやつとしてラーメンを食べに行く罪である。

お店はここ。

ラーメン出てくるのも速いし、お店のおっちゃんの接客も丁寧だし、(金土は2:00までやってるし、)とても好きな店です。

【珍しいものを食う】生ヤングコーンの丸焼き

2年前の初夏の頃、こんなものをスーパーで見つけた。

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小さいとうもころし! 10本200円!

ヤングコーン!ヤングコーンじゃないか!
中華丼に1,2本入ってるくらいしかお前と会ったことがない。
生の状態で見たのは初めてだ。こういう品種なのかな。それとも、ほんとにヤングなコーンなんだろうか?

まあいい、要は美味いかどうかだ。美味いには決まっているだろうが。
下手に調理するより丸焼きにする方が味が分かりそうだ。魚焼きグリル先生、お願いします。

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こうなるだろうと思っていたけどこうなった。

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でも中身は無事

ふむ、芯ごと食べられて硬くない。ほどよく甘いけど、トウモロコシのデンプン的な甘さではなく、新鮮な野菜の甘さだ。なかなか美味い。
特に、皮の裏側についている繊維っぽいところ(上図の赤い矢印)、これが普通に食べれて、かつ、中身より美味い。裂けるチーズみたいに削ぎ取っては食べた。

トウモロコシとは全く異なる味体験ができた。見かけたらまた買う。

【おすすめ商品】レンジで米が炊ける"ちびくろちゃん"

大いなる機会損失だと分かっていながら、新潟に住んでいるのに米をあまり食べない。
新潟の米が美味しいのは知っているよ。でも俺、うどんとかそばとかの麺類が好きなの。

そうなると、狭い賃貸のキッチンにおいて炊飯器がいまいち邪魔になってくる。
冷蔵庫の上に載せたレンジの上に置くか? ちょっと位置的に高すぎる。
じゃあ床に置くか? 床はちょっと……。
あとは水回りくらいしかスペースがないじゃないか。そこらに置くと直接的に邪魔だ。

そんな、炊飯器の置き場に惑うあなたへのおすすめ商品がこちら。恥ずかしげもなくアフィ貼る。

カクセー 電子レンジ専用炊飯器 備長炭入り ちびくろちゃん 2合炊き

 この商品、レンジで2合まで米が炊けるんですよ。
「レンジで炊くとか、できあがりがしょぼいんでしょ?」と
思われるかも知れませんが、そんなことはない、きれいにふっくら炊ける。

ただし、レンジの暖め特性との兼ね合いを見極める必要がある。
うちのレンジで言うと、

  • 必ず500Wで(700Wだと吹きこぼれるばかりで炊けない)、
  • 既定の分数よりも2,3分長めに。

こういうぴったりタイミングを見つけるまで少々の試行錯誤が必要なことは付記する。

週1くらいで炊いてタッパーに詰めて冷凍している。
炊き立てが食べたくなったら、0.5合から行けるので都度たく。

めっちゃコンパクトかっていうとそこまででもないけど、
炊飯器よりは小さくて収納スペースを取らない。
なにより、こう、そんなに使わない炊飯器を目に着くところに置かないで済むのは、
精神衛生上いい。これは俺が繊細に過ぎるだけかも知れない。

フライパンとか鍋で炊けばいいじゃないかって? そういうレベルの高いことを言うな。

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1年ほど使っているけど特に不満はない。
「炊飯器はあんま使わない。でも、鍋で米炊くスキルはない」
そういう方に超おすすめであると総括します。

【珍しいものを食う】プチヴェールのにんにく炒め

昨日行ったピアBandaiで見たことない野菜を見つけた。"プチヴェール"という野菜だ。

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15個くらいで200円

芽キャベツとケールを掛け合わせて作られた作物らしい。

www.masudaseed.com

 

たしかに、ケールライクな外の葉と、芽キャベツライクな中身

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外の葉を生でかじってみた。……キャベツの風味があるが、"薬用"という感想が生じる。ケールをかじったことはないけど、たぶんこんな感じなんだと思う。

ゆでたら甘くなるらしい。まずシンプルにそれでやってみよう。

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塩ゆでに処す

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2,3分ゆでた

……ええ、マジか。美味いじゃないか。"薬用"が消えた。むしろ甘い。さつまいもとかのデンプンっぽい甘さまで感じる。いちばん近いのは上手く蒸した春キャベツの味か。いや、そこまでキャベツの味もない。ただ甘い。なんだか噛んでるとねっとりした食感も出てきて、これはクセがなくて美味い野菜だぞ。いい買い物をした。

 

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上のサイトにプチヴェールのレシピ集があった。

"プチヴェールのガーリック炒め"、行ってみた。

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Ail sauté au petit voile (適当翻訳)
  • "薬用"が完全に消えた。甘い。むしろ焦げたニンニクの臭みが目立つ。
  • プチヴェールのねっとり感がオリーブオイルとにんにくと胡椒の旨みを運んでくる。
  • 外葉の歯ざわりが野菜であることを思い出させる。
  • うまい。

これはいい野菜を知ってしまった。ケールと掛け合わせているおかげか、栄養価も高いらしいよ。見かけたら買おうと思うくらいには気に入った。

晩ご飯用に作ったのだがぜんぶ食べてしまった。体調が健康に傾いたはずなのでよいとする。

つくばに大雪(5cmくらい)が降った日

今週のお題「雪」

 

大学はつくばにあった。関東平野どまんなかなのでそうそう雪は降らない。そんなある冬、珍しく大雪が降った。大雪と言っても5cmくらい積もっただけだが。でも体感的には大雪だった。その日の写真が出てきたので簡単に振り返りたい。青空バックの樹氷などいい写真がありますよ。

 

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2012年の1月23日の月曜日だった。日曜に雪が降って、月曜は快晴だった。でも雪積もってるから普段の自分なら昼まで寝るコースだった。しかし、1限の1年生の授業の補助バイトが入っている。行かざるを得ないのでなんとか起きる。

関係ないけど、当時の住処は木造のアパートだった。木造はヤバい。夏は暑く冬は寒い。この日も、部屋の中でも息が白くなってうんざりした。

さて出発だ。おおむね農道を自転車で2kmほど走ると大学に着く。雪だろうがなんだろうが俺は自転車を漕ぐ。

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絶対こけるやつやん(1回こけた)

しかし特別な景色も見ることができる。

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樹氷氷輪丸

きれいだ。こんなの初めてみた。

行く手に雪の煙が舞う。

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でも絶対こけるやつやん(1回こけた)

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超絶ホワイト

なんとか構内までたどりつく。構内も樹氷祭り。

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ゆきだるまと転がした跡

そんなこんなで教室に行ったら、1年生はちゃんと来ているんだから偉いなと思いました。おわり。

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まあ欠席率は高めだった覚えがあるけど

新潟みなとトンネルを歩いて入船屋でうどんを食べた(入船屋オススメ)

今日(2019/02/16土)、どっか行こと思って、新潟みなとトンネルを歩いてみることにした。

このトンネル、自歩道と呼ばれる歩行者・自転車専用の道があるのです。歩いてみたかった。なんで歩きたかったのかと言われたら困る。信濃川の下を通るトンネルがあると聞いてかっこいいなと思ってたから……。

トンネルは普通によかったし、なにより、左岸側にあるうどん屋・入船屋が特によかったので書く。

トンネルまで

古町までバスで出て、そこからC51という路線に乗り継ぐ。この路線はみなとトンネルの車道を走る。それでトンネルを抜けて、帰りは歩いてやろうという算段だ。

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C51は土日祝日は運休だった。俺はいつもこうだ。

C50という路線でも近くまで行くみたいなのでそっちに乗って適当なバス停で降りた。

トンネルを目指して歩く。海沿いっぽい景色になってくる。思いのほか潮の匂いはしない。

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二連新潟造船

トンネルの入口まで来た。河の下をもぐるため、やや下っている。

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こんな感じで自歩道と車道が完全に分かれている。水底トンネルとしては珍しいらしい。

トンネル内にあった模式図が分かりやすい。こんな感じで信濃川をくぐっているトンネルだ。そうか、入船みなとタワーから降りてこれたのか。

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トンネル内と入船みなとタワー

しかし、トンネル入り口からタワー直下までの壁に、小学生か中学生がたぶん図工の授業とかで作ったのだろう海の生き物の陶器が飾られていて面白い。

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なかなかすごい

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リアルすぎてすごかったかに

せっかくなので、左岸側のタワー・入船みなとタワーの展望台に上がってみた。無料。

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なかなかいいぞ。人も少ない。

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意味もなく撮った裸地

新潟の街や日本海をしばらく眺めたのちにトンネルに戻る。こんな感じで、なんというか清潔なトンネルです。

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ちゃんと明るい

河の下だから水の流れる音とか聞こえるかなと思っていたけど、壁をはさんだ車道の車の音しか聞こえなかった。といっても、トンネルは川底の20m下らしいから、どっちにしろ聞こえはしなかったか。

直上が河ゾーンに入ると、新潟の海や河で見られる魚介の写真とキャプションが壁に貼られている。こういうの好き。

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タイリクバラタナゴさん

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えっ南蛮エビって甘エビのことだったの…? 別種だと思ってた…

けっこう人通りがある。ジョギングしている人が多い。トンネル内は寒くないし、往復すれば結構な距離があるから、走るのにちょうどいいのかも知れない。

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ひっきりなしに追い抜かれる

どうせなので、右岸側のタワー・山の下みなとタワーの展望台にも上がってみた。こちらも無料。

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展望台からの街並み

なかなかよかった。

ちなみに、トンネル自体の全長は1.5km弱だけど、タワーとタワーのあいだの距離は900mくらい。いい運動になります。

うどん屋・入船屋

そして今回の個人的ハイライト。うどん屋入船屋さん

入船みなとタワーの南側の駐車場を抜けてすぐのところにある。

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新潟島最北端の飲食店ではないか

内装の写真は撮ってない。食べログの写真とか見よう。外見から想像つかないくらいカフェっぽい。でも座敷もある。地元の人たちっぽいグループが3組、うどんを食べていた。子供たちはカルタをしている。店内には小さくゆったりとジャズがかかっている。店の奥で卓球ができるらしい。壁には一面というか二面くらい漫画がならべられている。

こう書くとカオスなんだけど何か妙に落ち着く。店員さんも親切だし。

うどんも美味しかった。麺も美味しいし、なによりつゆがそこはかとなく美味しい。入船うどんという、じゃこ天が乗った温かいうどんを頼んだ。じゃこ天の上に盛られたいりごまとしょうがをつゆに溶かすとまた美味い。

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"入船うどん"(680円)と"天ぷら"(100円)

どうも何匹か猫がいるようなのだが、今日は姿を見せなかった。残念に過ぎる。

行きつけの店というのが近所のラーメン屋くらいしかないけど、ここは素直にまた来たいと思った。俺特攻かも知れませんが、雰囲気よくてこのお店はおすすめですよ。

帰りに

どうにもバスの時間が合わず、ピア万代まで歩いた。

www.bandai-nigiwai.jp

のどぐろとバイ貝を買ってあとはバスで帰った。

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バイ貝はゆでて食べた。この貝がとても好きで。貝の肝ってなんであんなに美味しいんですか? のどぐろは焼いて食べた。さすがに美味かった。

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のどぐろ先生

いい休日だった。

青春18きっぷと米原の悲劇と逞しくなる私

お題「もう一度行きたい場所」

滋賀県米原にまた行きたい。

 

青春18きっぷでふらふらするのが好きだ。……就職してからはできてないけど。

 

大学が茨城で、実家が広島である。しばらくは夜行バスで帰省していた。だいぶ乗った。

yamasaki1ma.hatenablog.com

しかし飽きてきたのもあって、帰省の手段を変えることにした。そうして18きっぷデビューした。東京から広島まで15時間くらい。始発で出発して休憩なしに移動し続ければギリ深夜に広島に到着する。乗り換えとか恐れていたけど、だいたい、始点の駅→終点の駅→そこが新たな始点の駅になる、の繰り返しだから特に難しいこともなかった。腰こそ痛くなるが、まとまって読書する時間にしたり、車窓を眺めたり、疲れたら寝たりすれば15時間もさほど苦痛ではない。

そうやって何回か長距離鈍行旅をしているうちに、慣れたというか舐めるようになったというか、さほど真剣に考えることもないな感が現れはじめた。具体的に言うと、始発で出発する予定の日に昼過ぎに起床した。どう頑張っても当日中に広島にはたどり着けない。まあいいだろう、行けるところまで行けばなんとかなるだろう。

そうして電車に乗って、終電でたどり着ける限界が米原だった。まあでも米原は新幹線も停まる駅みたいで、駅前に出ればファミレスなりネカフェなりあるだろう。そこで始発まで待てばいい。もう7,8年も前だ。当時はまだスマホは普及しておらず、出先でススっと検索したりできる時代ではなかった。

米原で降りて終電を見送り、駅を出る。

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終電が行ったあとの米原駅

あ、待って、うそでしょ。

なんにもない。

ファミレス・ネカフェはおろか、コンビニの1件もない。端的に言って駅前なのに暗い。やばいぞ、これはやばい。季節は夏であるため、最悪、駅のベンチとかに座って朝まで待てばいいが、でもこれはやばいぞ。

しかし、この"命には関わらない危機"にテンションが上がってきた。朝までどう過ごしてやろう。駅の案内板を見ると、どうやら歩いて20分くらいで琵琶湖のほとりに着く。いよっしゃ、夜の琵琶湖見に行こーじゃん! 1人静かにハイテンションで見知らぬ地の夜を歩き始める。

暗く眠るしょぼい市街地を抜けるとすぐに田園となった。さすがの"米原"、田んぼしかない。あんまり見えないけど。

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飛び出し坊やの目も光る

15分ほど歩くと幸いにしてセブンがあった。酒と朝食を買った。

そうしてもうすこし歩くと琵琶湖が見えた。あっ、ここだけかもだけど、琵琶湖のほとりって砂浜になってるんだ。対岸に工場の明かりが見える。

 

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手前が砂浜になっている。よく見えないけど。

なんだかいい感じではないか。 旅って感じだ。俺の旅観が狂っている可能性もある。

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さっき買った酒を飲みつつ夜の琵琶湖をながめる

あとは始発の5:00まで待つだけだ。砂浜に横になってみる。ちょっと寒いが、着替えの服をかけたら気になるほどではなかった。割と普通にぐっすり眠った。

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このガードレールの下で寝た

 すっきり目覚めて始発に合わせて米原駅に戻った。

予想外の野宿となったけど、とりあえず冬じゃなければなんとでもなるものだなと分かって、それからはもう18きっぷ旅をする際には予定を立てることもなくなった。なんとでもなるから。

 

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どっかの公園のSL模型の中でも野宿した

そんなわけで帰りも野宿した。終電で降りた焼津駅の周辺をふらふらしていたら公園があって、使われなくなったSLが置いてあったのでその中で新聞紙を引いて寝た。起きてSLから出たら、掃除をしていたおっちゃんに「あんた」と声をかけられる。「はい、おはようございます」と返す。「泊まったわけか」「泊まったわけです」。特になんでもなさそうなのでそのまま駅まで歩いた。

そんなこんなで、(少なくとも暖かい時期なら)野宿でもなんでもなんとかなると分かってしまい、18きっぷでふらふらするくせがついてしまった。

またどこか行きたい。いま、米原の駅前がどうなっているのかまた行って確かめたいし、また砂浜で寝たい。

【小説】二人のスーツの男

俺は、東京の中小IT企業戦士だ。今日も激務を生き抜いて終電である。
俺が使っているこの路線の終電は意外と混んでいない。まあ毎度立たないといけないレベルだが。

今年で30になった。会社から役職を与えられ、後輩もそこそこできた。
俺は、大学では冴えなかった。勉強というものが苦手だったのだ。なぜ卒業できたのかもよく分からない。
そのころ俺と同じゼミに配属を申し出た、青木という男が居る。俺はあいつのことが大嫌いだった。
要領のいいやつで、頭もいい。顔もいい。運動もできるらしい。なんだこいつは、俺を劣等感の塊にしたいのか。
社交的な青木は常に友人がいて、人生を楽しく生きているように見えた。やはり、俺はあいつが嫌いだった。

なんとなく青木のことを思い出した。さっき、飲み帰りらしい学生の集団とすれ違ったからかも知れない。
そうして終電に乗った。1つでも空いている席を求め、車内を見まわす。
そうして気付く。あの寝ているスーツの男は青木じゃないか?
俺は青木と思われる男の前まで移動する。体のつくり、頭の形、耳のピアス跡。
うつむいていて顔は見えないが、こいつは間違いなく青木だ。

こいつ、たしか博士まで進んだと聞いていたが今スーツ着てるってことは就活中? 博士って何歳で出るんだっけ?
よく分かんねえな。こいつ起こしてみるか。

青木の靴に何回か俺の靴をぶつけてやる。お前、寝たフリだろ? 久々にしゃべろうぜ。
しかし青木は顔を起こさない。それはあまりに不自然な反応だった。
これは間違いなく寝たフリだ。終電マスターの俺にはそのあたりよく分かる。

なぜだ? 俺を不審者と思っているのか? それでも、あの頃のお前は、顔を上げて、にこやかに対応するやつだったろう。
俺は、こつこつこつこつと、4回、明示的に青木の靴を蹴った。お・き・ろ・よ。さすがに顔を上げるだろう。
……上げないか。ビクついているみたいだ。「青木」と声を掛けた方がいいのかも知れない。
だが、よく考えてみれば、結局、俺はこいつのことが嫌いだったのだ。まあいいや。

車内は少しにぎやかになっていた。青木の前を移動するのは、俺が下りる駅ではないと難しそうだ。
俺が下りる駅は終点に近いぞ。青木、それでもお前は顔を上げないか?
学科以降のお前のことを俺はあまり聞いてない。
万能感に溢れているように見えたお前を変えたのは何だ? どうしてそうなってしまった? お前は、本当にできるやつだっただろう。

終点に近づき、乗車客は疎らになっていった。俺も降りる駅が近づいた。
もう一度、青木の靴を何度か蹴ってみる。すこし体がピクりと跳ねたが、ついに顔は上げなかった。

到着駅に着いて、俺は電車を降りた。
振り向いて車窓を外から眺める。やつは顔を上げていた。そして、やはり間違いなく青木だった。

【うさぎアイランド】大久野島でうさぎとたわむれた


猫がたくさん棲む島を"猫島"と呼んだりする。
そのメソッドに則れば、広島県大久野島(おおくのしま)は"うさぎ島"だ。
天然のうさぎが山ほどいる。大久野島でうさぎとたわむれてきた話をしたい。

(ちなみに来訪日は2015年09月24日です)

 

大久野島はここ:

 

 

大久野島では餌は売られてないから注意しよう。

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船乗り場の近くのファミマで餌が売られている。

 忠海(ただのうみ)から出ている船に15分ほど乗って、降りたらもううさぎアイランド。

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大久野島さん


Wikipedia見ただけなんだけど、なんか小学校の飼育小屋から逃げたうさぎが繁殖したらしい。

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ファースト壁うさぎ

山ほどうさぎが居る:

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餌を餌と思わないぜいたくうさぎ

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ブレうさぎ。

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黒うさぎ。

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近うさぎ。

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凛々しいうさぎと奥うさぎ

 

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こんな感じで普通に寄ってくる。赤い子は妹です。

 

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手から食べてくれます。

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ひざにも乗ってくれます。

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わちゃわちゃうさぎ(その1)

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わちゃわちゃうさぎ(その2)

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なんにゃ。

という感じで素敵アイランドです。行こう、大久野島

 

うさギャラリー:

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にげうさぎ, 擬態うさぎ, よりうさぎ
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ねむうさぎ, うまうさぎ, 事務所通してうさぎ
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よそみうさぎ, それおいてけうさぎ, う詐欺

 

【小説】私の心で空を飛ぶ

半月よりもすこし膨らんだ月が沈むころ、今夜も私は出かけることにする。

寝巻の上にセーターとコートを着込む。耳まで隠れるニット帽をかぶる。
くちびるに厚めにリップを塗る。マフラーで顔の半分を隠す。手袋をつける。

部屋の電気を消して、音が鳴らないようにベランダの扉を引く。
予想通りに外気は冷たくて、マフラーから漏れる息も白くなる。
ちぎった綿のような雲々の向こうに夜の空が真っ黒に広がっている。

このあいだ買った寝袋を取り出し、足を入れて胸まで持ち上げる。
やっぱりひどい格好だなこれ。でもここまでしないと寒いしなあ。
「……ふふ」
それでもなんか微笑んじゃう。

暖かい紅茶を入れたタンブラーを寝袋の下のコートのポケットに突っ込む。
寝袋にくるまったミノムシみたいな姿のまま、
転ばないように跳ねてベランダに出る。後ろ手に引き戸を閉める。

「行きましょうか」

軽く跳ねてそのまま浮き上がる。
私は空に向かう。ゆるやかな速度で上昇していく。

「……寒いなあ」
できるかぎりの格好をしたつもりだったけど、冬の夜の空はどうにも足先が冷たい。
上半身の防寒ばかり考えてしまってたかな、寝袋の中で両足をこすりあわせる。
体をくるりと地上に向けると、私の家の屋根はずいぶん小さくなっていた。

顔を上げると、この町を取り囲む山々が黒く沈んでいるのが見える。
山の形だけは分かるけれど、森も地面も生き物もみんな闇の下に眠っている。
まばらに立つ送電塔のランプが小さく赤く点滅しているだけ。
山のすそに流れる川もほとんど判別できない。
目をこらすと月の光を切れ切れに反射しているのが見えて、
水が流れていることがようやくわかる。

雲が近くなった。
どうにもまだ寒い。すこし体を慣らしておこう。
寝袋に包まったまま軽く伸びをして、そのまま空に横たわる。
うつ伏せになって、私の町を見下ろす。
屋根に隠れているせいか、真下の景色にそれほどの力を感じない。
少し顔を上げると山のふもとまで広がった明かりが見える。
なんだかふしぎな気分だ。
町の生活の音はここまでは届かない。かすかに電車の走る音だけが響く。

寝袋の中でコートのポケットをあさって、チョコの包装紙をむく。
なんとか口元まで運んでかじる。甘くておいしい。

そろそろ行こうか。
体を起こして、私はさらに上に昇っていく。
雲の中に入ってしまわないように気を付ける。
冷たいし顔が痛いし全身が濡れてしまうし、何もいいことがないから。

そうなんだけど、私の昇っていくスピードより雲の動きはずっと速い。
「うわっぷ……」
だからときおり引っかかる。
これほんとに嫌なんだよ……。
雲に入ってしまうと視界がなくなる。
なんとか寝袋から両手を取り出して、顔を覆う。そのまま上昇して、雲を抜けるのを待つ。
顔も寒いけどなんとかなっている。なにより足が寒い。
体育座りの格好で体を丸めるけど、寒いものは寒い。靴下も二重に履いたのになあ……。
「……あっ、そうか!!」
そうだ、今度からは寝袋の底にカイロをいくつか入れよう!
どうしてこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。

気を紛らわせるためにぐるぐると旋回していると、雲を抜けた。
雲の上に出たことは、いつでもすぐに分かる。
まず1つには、地上の音が消えるからだ。ここでは、風が吹く音しか聴こえない。
そしてなによりも、明るいから。雲も大気も遮らない星の光がここにある。
地上から見上げると真っ黒なのに、上空から見上げる空は濃い紺色だ。とってもきれい。

コンディションはいいみたいだ。遠くに風が吹く音は聴こえるけど、
少なくとも、私がいるこの場所には強い風は吹いていない。
とはいえ、上空の風向きが変わることなんてよくあることだから、
寝袋にくるまってしばらく様子をうかがう。
……あったかいなあ。さっきまで寒かったのは、やっぱ風があったからかなあ。

5分ほどそのまま待っていた。わりあい気持ちよくて寝そうになってしまった。
とりあえずは大丈夫そうだ。そう寒いとも感じない。
寝袋のジッパーをすこし下ろして両腕を出す。
たぶん外気温はかなり低いと思うけど、火照った体には心地よい。
上体を起こして、改めてあたりを見渡す。
地上から見るより月は大きく明るく、その周辺の星は光に隠れて見えない。
だけど、空の端の方には月に惑わされない星々が見える。

「んっふっふふ」
ポケットに入れておいたタンブラーを取り出す。
蓋をあけると湯気が立ち上った。ゆっくりと紅茶を飲む。おいしい。
ほうと吐き出す息もすべて白く消えていく。
ゆるく吹く風に体が流され、私の体は回る。
月と、星と、雲と、その下の淡い光と、私の白い息と。
紅茶の香り、私の体の温かさ、空気の澄んだ冷たさ。

そのうち紅茶を飲み終える。体は暖かいけど、そろそろ戻る頃合いだ。
空になったタンブラーをポケットに押し込んで、体を寝袋にくるむ。
そうして私は地上へと帰る。帰りは自由落下だ。耳鳴りさえ気にしなければすぐに着く。

うまく減速してベランダに降りる。部屋に入って、寝巻以外の装備を脱ぎ捨てる。
今日もよかった。ベッドに入りながら考える。布団は冷たいけど上空ほどではない。
「……なにか、……次のためのこと……、あったよなあ……」
枕もとで充電していたスマホをちらりと確認して、私はすぐに眠りについた。